第3作目 迷路館の殺人(ネタバレなし)
迷路というので何故かポップなものをイメージしていた私だが、
地下の迷路館ということで今回もかなりダークだが、遊び心のある楽しい作品だった。
あらすじ
奇妙奇天烈な地下の館、迷路館。招かれた4人の作家たちは莫大な“賞金”をかけて、この館を舞台にした推理小説の競作を始めるが、それは恐るべき連続殺人劇の開幕でもあった! 周到な企みと徹底的な遊び心でミステリファンを驚喜させたシリーズ第3作、待望の新装改訂版。初期「新本格」を象徴する傑作!
感想
まずはこの作品には、作中作が出てくる。
その作中作の作家にまつわる謎を解くのも楽しめるのだが、
私はWikipediaで館シリーズの順番を調べているときにふとそのネタバレを見てしまった!!!
この謎を当てるのを楽しみに読んでいたので、とてもショックだった、、
Wikipediaを安易に開くのはオススメしません、、
前2作とかなりまた雰囲気の違う少し洋風な?不気味さをもった迷路館での事件。
館の中で推理小説を書いて競い合うなんていう、なんとも素敵なシチュエーション。
キャラクターたちは皆推理作家や評論家たちなので(探偵も混ざっているが)
私の好きなキャラクターたちの推理談義を存分に楽しめる。
全てのトリックを知ってから、このシチュエーションについて考えてみると、作者の粋な意図が見え隠れする。
一度全て終わったかのように見せかけて終わらせない、そしてそこにはまた一つ想像を超える真実があるという、新たな価値を見出して作品を読み終えることができる。
この形は水車館にもあったが、個人的に非常に作品の印象が強く残って好きだ。
ちなみに、ブログでも犯人の予想を一人に決めたと言っていたが、推理は間違っているものの犯人自体は合っていた。
シリーズものであるから人によっては慣れてきて推理ができるようになるものかと思っていたが、これは不可能だなと思う。
集められた推理小説家たち、そして彼らの巨匠、閉じ込められた館での推理小説の競作、、
そのシチュエーションだけでなく、迷路トリックや被害者たちの不可解な死に方、そして作中作だからこそできる最後の大仕掛け、と島田のおまけ、、などなど盛り沢山で遊び心の詰まった作品だった。
始終楽しめて、もう一度読みたいと思った。
次回
次回は、アガサクリスティ アクロイド殺し について書こうと思う。