このペースで館シリーズの感想を書いていると、今読んでいる分が間に合わない気がするので、たまに別の本を挟もうと思う。
今日は館シリーズの十角館にもちなんで、そして誰もいなくなったについて。
(ネタバレなし)
私は英語の勉強も兼ねて洋書はできる限り英語で読むようにしているので、本当に読んだのはこちら↓(洋書のみKindleユーザです。)
あらすじ
その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女だった。だが、招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が……そして無気味な童謡の歌詞通りに、彼らが一人ずつ殺されてゆく! 強烈なサスペンスに彩られた最高傑作! 新訳決定版!
十角館のように完全孤立した島で連続殺人が起こります。
感想
序盤から登場するあの詩が、作中のキャラクターに大きく影響している。
アガサクリスティの他の作品にも言えることだが、最後のトリックを知ったとき、どれほどこの女王の意のまま操られていたかを思い知る。
ここで燻製ニシンについて少し解説したい。
私は英語で読んでいたので相当に混乱した。(A Red Herring)
読み終わった後に調べて、そんな大事な意味だったのか!となったので解説を挟みたい。
英語の意味を調べると以下のようにある。
a clue or piece of information which is or is intended to be misleading or distracting.
要するに、間違った方向へ導くヒント、ということですね。
匂いが強い燻製ニシンを引きずっておくと、自分の匂いがわからなくなり追手を騙せる、ということに由来しているよう。
作中でもまさに、キャラクターたちが燻製ニシンに飲み込まれていき、自分も道連れにされている気がした。
特に最後の処刑台は、なんとも芸術的な死に方だったんではないだろうか。
異常な環境に身を置いたキャラクターの精神状態やあの詩を考えると、犯人の計画は天才的だと言えると思う。
アガサクリスティの作品では、
こんなにヒントを与えても、自分の作品では読者をコントロールできる。
という自信のようなものを感じられます。圧倒的女王感、、
アガサクリスティの作品にもっと弄ばれたい!となるような作品だった。
ぜひこれを読んだ後に十角館を読んでいない人はすぐに読んでみてほしい。
次回
次回こそは館シリーズ第3作 迷路館について書く。
昨日、人形館を読み終わったので、今日から時計館に突入!
シリーズの中で人気の高い作品だと聞いているのでとっても楽しみ。