ミステリ談義の蕾

ミステリ談義に花を咲かせたい!

【館シリーズ①】十角館の殺人

記念すべき最初の本は、今現在読んでいる館シリーズにしようと思う。

 

 

 

館シリーズに出会うまで

綾辻さんの存在は知っていたのだが、なんでか分からないが読んだことがなかった。

アガサクリスティ作「そして誰もいなくなった」を読んでいたときに、人から

似た話があるよ。

と云われて、興味を惹かれたのがきっかけだった。

 

館とミステリの融合が面白くないわけないよね!

あらすじ

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!
1987年の刊行以来、多くの読者に衝撃を与え続けた名作が新装改訂版で登場。(講談社文庫)

おすすめな人
感想(ネタバレなし)

まず最初に声を大にして言いたいことは、

十角館を読んだ後でも先でも良いから「そして誰もいなくなった」を読んだ方が良い。

 

私は十角館を読む前に読んだが、それによる付加価値は大きかったと感じる。

具体的には以下3点

  1. そして誰もいなくなった」で得た知識を元により推理が捗る。
  2. 十角館に限らず、登場人物たちのミステリ談義について行ける
  3. 殺人の方法やトリックを比較できる

1.そして誰もいなくなった」で得た知識を元により推理が捗る。

私が推理が得意でないのでとても大きかったように感じる。

十角館は、そして誰もいなくなったを模倣しているわけではないと思うので、状況やトリックは別だが、閉鎖空間で次々に起こる殺人事件という点で、そして誰もいなくなったのトリックを思い出して、より綿密な推理を楽しめる。

 

2.十角館に限らず、登場人物たちのミステリ談義について行ける

館シリーズ現在4作目を読んでいる私が、絢辻さんの作品の中でとても好きなパート ”登場人物たちのミステリ談義" について行くために必要だった。

幸い、「そして誰もいなくなった」を読んでいたから、登場人物たちの話にのめり込んでいけたように感じる。

 

3.殺人の方法やトリックを比較できる

1.に通ずる物があるが、やはり比較できるとより楽しさも増す。

そして誰もいなくなった」なら次はこんな殺され方かな〜とか、普段より色んなことを考えながら作品を読める点が良い。

 

逆に言えば、「そして誰もいなくなった」を読んだ人も、絶対に楽しめる作品だと思う。作者の「そして誰もいなくなった」への愛とリスペクトを感じられる。

 

 

いつも小説を読むときに、早く誰か死なないかな〜と考えながら読む人は、この十角館を絶対に楽しめると思う。派手に、そして緻密に殺されていき、終わりはしっとりと締まる、そんな印象の作品だった。

見事に騙されるのもクセになってしまう。

 

登場人物が若く生き生きしていて、まるで自分も一緒にみんなと話しているような気分になれるのも、この本の魅力だったように思う。

個人的には、エラリイくんが大好きで、エラリィクイーンの作品を読むことを決意した。

感想(ネタバレあり)

※ネタバレがあります。ご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上記でも述べたようにエラリイくんが大好きな私としては、犯人と二人になり、白骨死体を発見しても、犯人に気づかずに無警戒なところが少し残念だった。

しかし、ここで私が感じた無念さは、私がエラリイくんに対して名探偵としての活躍に過度な期待をしたことが原因だと、後から気づいた。

つまり、エラリイは最後に至るまで、探偵としての役柄をあまりに華麗にこなしていたために、私は彼が「普通の大学生」という点をすっかり忘れていたのだ。

そう思うと、エラリイの最後は納得すべきものかもしれない。

 

そして誰もいなくなった」を読んだ直後に、最初の自身の犯行を告白した手記を流すところを読んだらたまらない。

 

たくさんのヒントが散りばめられていて、いい具合に犯人が分からない、推理小説初心者の私にはぴったりな作品だった。

派手な殺人と推理を楽しみながら、最後のどんでん返しもある。

 

どんでん返し系は色々読んできたけど、それだけに頼らない事件も面白いという素敵な作品だった。

次回

次は、館シリーズ2作目 水車館の殺人 について書こうと思う。